第267章 兄さん、遅くなりました

刹那、ヘッドライトがばっと跳ね上がった。――また突っ込んでくる!

福田祐衣の血が、凍りついたみたいに冷える。

無駄だとわかっていながら目を見開き、呆然とその車を見つめた。

「――っ!」

来る。ぶつかる。そう思った瞬間。

「ドンッ!!」

予想していた激痛は、来なかった。

山道のカーブから黒い車が一台、鋭い速度で飛び出してきたのだ。迷いなんて一ミリもない。一直線に、狙い澄ましたように――突っ込んできた黒い車の側面へ。

「ガァァン!!」

鼓膜が震えるほどの衝撃音。

突っ込んできた黒い車は一瞬で制御を失い、抵抗する暇もなく大きく跳ねた。次の瞬間、ガードレールをへし折って、そのまま...

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